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第1部 三章【護りのミサト!】その4 第四話 これが本物の勝負師

Author: 彼方
last update Last Updated: 2025-11-26 19:00:00

63.

第四話 これが勝負師

 結局、曽根がアガリをとれたのは初めのハネマン一回だけでありその後はみんなして曽根をボコボコにした。プロ3人でよってたかってフルボッコである。

「わかったわかったわかりました。格の違いはもうわかったから、お願いだからこの辺でやめて!」

「こう言ってるし、中野さんはもうアガるの禁止でよくないですか」

「よくねーだろ! 今おれ三着目だろうが」

南3局

曽根の最後の親番

中野 29800点

トキオ33100点

曽根 3600点

ミサト33500点

 3人は三つ巴だった。なのでここで軽くアガリを取ろうとか考えない、むしろこの局。ここで決着をつけるように手作りするのがプロというものだ。それを3人とも分かっているのでこの局は誰も鳴かなかった。そして……

「リーチ!」

「リーチ」

「私もリーチよ」

 親の曽根以外の3人が一気にリーチ。曽根は親番ではあるがさすがに無理なものは無理なため『もうお手上げ』とばかりに現物を力無く放る。

「ツモ」

ミサト手牌

三三八八八①②③11666 1ツモ

 手を開いたのはミサトだった。

「四萬切りリーチで三萬と1索のシャボ

!」

「3軒目のリーチなのにあえてツモり三暗刻なの?」

「三萬が山にありそうだったからね。まあ、引けたのは1索なんだけど。それに、アナタたち強いからここで決着つけておくのが最善策だと思ったの。はい、2000.4000で私の勝ちね」

 チャンスと見たら決めに行く、それがプロの麻雀だ。

A卓は

一位 ミサト

二位 トキオ

三位 中野

四位 曽根

という結果となった。

 一方、B卓はというと……

「カン!」(中中中中)

 ユキのノータイム加カン。新ドラは中!

(おっ、やりい、4枚乗った!)

「えええ~。勘弁してよー」

 ユキの捨て牌には⑥筒と②筒が捨ててある。それを見て鹿野沙織はこう考えた。

(例えば愚形の③筒待ちだったとして中をノータイムで加カンするだろうか? まして彼女以外は全員メンゼンなわけだからカンして新ドラ開かれたら嬉しいのはリーチで新裏まで見れるメンゼン者の方だ。それを分かっていてもカンがノータイムだとしたら最低限リャンメン待ち以上。変則3面だとしても②筒を捨てているから③④④④ということはない。つまり……)

「これはない」

打③

「さすが、中野雅也さんの連れですね。ちゃんと麻雀してる。読みが鋭いわ。でも、ロン」

「ウソ!」

ユキ手牌

四伍六②④34577(中中中中) ③ロン ドラ4 新ドラ中

「ハネマン」

「なんで? だってその手を……」

「うん、3人メンゼンがいる中でノータイム加カンするのはおかしくないか? ってことでしょ? 元プロの連れならそのくらい読んでくれるかなって思ってやってみたんですよ」

「…やられた。これが本物の勝負師……!」

 B卓ではユキのハネマンが炸裂して決着。

二回戦の組み合わせは

A卓

井川美沙都

飯田雪

中野雅也

鳥栖大毅

B卓

金田朱鷺子

金子水景

曽根博一

鹿野沙織

となった。

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